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ニュー善光寺さん 石の巻
善光寺の境内に散りばめられている石造物を巡るための地図。石造物は、ひとつずつ、形も大きさも、由来も異なっている。それは、寄進した人々や時代の違いでもある。全国区の知名度を有する長野の名所、善光寺。だからこそつい、「善光寺のことなら知っているよ」と言ってみてしまいがちではないだろうか。
しかし、早合点してしまう前に、この地図を手に、順繰りに石造物を見て回ってほしい。目の端に、大きな本堂の檜皮葺を捉えながら。長い時間、じっと境内に佇んで、欠けたり、傾いたり、苔むしたりしている石造物と向かい合ってみると、人々がさまざまな想いを、そこに託したのかもしれないことが、わずかにでも感じられる気がしてはこないだろうか。
私たちは、もう少しだけ善光寺さんに親しみを覚えながら、この特別な場所と時間を過ごすためのきっかけを、かたちにすることを企図している。

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マップは、本体とシールに分かれている。石造物のシールはマップの表面に貼っていく。裏面には、それぞれ短いテキストを付した。ニュアンスに富んだイラストもふくめて、デザインは、SHIMA ART&DESIGN STUDIOの島田耕希さんと小島沙織さん。

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一度は全部を見ていたはずだったが、改めて境内を踏査しながら、こんな姿形であったか、こんな色合いであったか、こんなにざらついていたか、こんなに苔むしていたか、こんなに先っちょが欠けていたか…と、個性を再確認する。誰かが、いつか反芻する、その機会をただ佇んで待つ事物を見つめて、少しだけ煤や埃を払って、少しの言葉を添える。

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