試みに、解体前から竣工まで、一連の工事記録を写真に収めることにした。あらかじめ決めたポイントから定点観測し、全30シーン×14回を撮影、480枚程の写真となった。
一つ一つ並べてみると、480枚の写真は単なる記録に留まらず、撮影行為そのものが、建築あるいは作り手たちとの対話であったかのように見えてくる。
たいてい休工日に行くので、現場には誰もいない。つい昨日まで作業をしていて、また明日から作業を始める、いつでも途中の状態である。そしてきちんと整理された現場には、数日前に送った図面やスケッチが貼ってあったり、使いやすいようカスタマイズされた道具たちが並んでいたりする。前回あそこにあった脚立が、今度はそっちに移動している。塗り残された壁の前には、裸電球や足場板が並び、不意に、抽象絵画のようなシーンがあらわれることもある。
全体としては当然完成に向かって進んでいるのだが、シーンによってはずっと変わらなかったり、あるいは突然変わったりもして、前回より後退したかのように見える時もある。
同じカットで見つめ続けることで、シーン毎に少しずつ違うスピード、ものが移動する様子、細かな違いが浮び上がってくる。竣工までの騒々しく、あるいは静かな、ときに緊張がはりつめたり、たまに賑やかであったりした時間が凝縮された記録となった。

 明るい家