旧遷喬尋常小学校校舎保存活用計画_01

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旧遷喬尋常小学校校舎保存活用計画

発行年:2024 (令和6) 年6月

事業主:真庭市

作成補助:文化財建造物保存技術協会 + wyes architects

岡山県真庭市にある重要文化財(建造物)旧遷喬尋常小学校校舎の保存活用計画(※)。旧遷喬尋常小学校校舎は、江川三郎八が設計し1907年(明治40)に竣工した小学校の校舎。

江川は1860年(万延元)に会津藩士の家に生まれ、1887年(明治20)に福島県技手となって、1902年(明治35)から岡山県技手、まもなく工師となった。伝統的な木造建築の技術を基礎に、洋式の構法や意匠を本格的に用いた独自の設計規範によって、福島・岡山県下の建築物設計や監督を数多く行なった。江川や彼に学んだ県の属僚らが携わった建築は、親をこめて「江川式建築」と呼ばれている。旧遷喬尋常小学校校舎は、現存する江川式建築のうち、重要文化財(建造物)の旭東幼稚園旧園舎「八角園舎」(岡山県岡山市)、旧亀岡家住宅(福島県伊達市)と並んで、その代表的な遺構だ。

校舎は、久世地区の中心部にあって市役所ともほど近く、敷地には市の文化施設であるエスパスセンターが隣接している。すでに学校としては利用されていないが、市民にも、市役所内部にも、卒業生が多くいて、皆これからの在り方を注視している。文化財を残していくには、お金も時間もかかるという現実がある。しかしながら、やはりそれを残すことに熱意を傾ける周囲の人々の存在も、同じか、それ以上に大事であるということを、「文化財慣れ」してきていたタイミングで改めて実感した貴重な仕事。

計画策定では、建造物の概要をまとめ、建物と周囲の状況を調査し、防災面も含めた課題を整理して、今後の保存修理と活用整備の方向性をまとめた。

(※)保存活用計画とは、それぞれの文化財について、保存と活用の考え方や所有者が取り組む具体的な取組の内容を位置付けた、保存と活用を進めていくための指針となる基本的な計画。

 計画公開URL

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計画途中には、講堂で「旧遷喬尋常小学校の活用を考える市民ワークショップ」を行った。
赤は、学校の思い出。黄色は、いまの旧遷喬小のこと。青には、これからの旧遷喬小に期待すること。卒業生を含む地元市民の方々が、夜の講堂に集まって、模型に、付箋を付けたピンを差していく。